第5回 海外向けECサイトができるまで


国内向けECサイト構築との違い

海外向けECサイトを作るのは、国内向けECサイトを作るよりも手間が掛かりそうだということは、みなさん想像されていることと思います。実際その通りで、私が知っている中ではECサイトオープンまでに2年以上も費やしたという事例まであります。

では具体的にどのようなところが違うのでしょうか。目立った3つに絞ってみていきましょう。(わかりやすくするため、厳密ではない部分があります。)

1.ロジスティクス

広い意味でのロジスティクスには、日本からアメリカ等に荷物を船便で転送する「フォワーディング」、トラックや鉄道での物流、商品を保管しておく現地倉庫、倉庫から消費者への発送および返品受領などが含まれます。さらに税関の状況管理や、関税の代理支払いなどもサービスに含まれる場合があります。

国内であればフォワーディングや税関は存在しないし、工場から倉庫への配送にかかる時間もほとんどの場合無視できるでしょう。また返品数は限られているので、あまり深刻に考えなくていいかも知れません。しかし、海外向けに物販をする場合は、これらも考慮したロジスティクスにする必要があるのです。

2.現地法人または支社

ECサイトで入ったオーダーに対して、日本から消費者へ商品を郵便などで直送することも可能かもしれませんが、そうすると消費者は個人輸入をすることになり、関税などを処理するのが面倒なだけでなく、本当に商品が届くのか不安になるはずです。実際に商品が届くことがわかっていても、海を超えた配送なので数週間かかることもあるでしょう。さらに消費者は気軽に返品できないことに不満を持つ(アメリカでは理由もなく返品できるのが当然)でしょう。

ECで海外の消費者に商品を販売する場合、上記のような理由から、少なくとも販売対象国内に倉庫を持ち、関税の問題と返品の問題を解決しておく必要があります。

さらにたとえばドル建てで商品を販売するのであれば、ドル建ての銀行口座を持ち、ドル建てのクレジットカード決済口座を持っておかないと、販売するごとに無駄な手数料が発生してしまいますから、これも解決しておく必要があります。

こういった様々な理由から、現地法人または支社を持つことが有利になることがほとんどです。

3.文化と法律

アメリカでは消費者が購入した商品を返品する権利が定められていて、ECサイト側は返品を当然のように受領しますし、多少使われたくらいであれば返品された商品をもう一度売ったりします。購入側も、袋が開けられているなど多少の問題なら気にしません。

日本では当然のように提供される過剰な無料サービスも、アメリカにはありません。たとえばカーディーラーに行って車を買ったら、そのあとはセールスマンは何も面倒を見てくれないし、新車には保証がついてなかったりするので、その場合買った次の日に故障しても有料修理になります。

現地拠点を置く場合に取得するもの

現地拠点を置く場合、以下の様なものを取得することになります。

  • 米国法人登録(EIN取得)
  • 銀行口座
  • クレジットカード決済口座
  • ヒストリー

EINとは、米国法人番号です。納税や雇用など、様々な場面で必要になる番号です。

ヒストリーは会社や個人の経済的な活動の履歴です。個人の場合クレジットヒストリーという情報がなければ、クレジットカードすら作ることが出来ません。しかしクレジットカードを使っていないと、クレジットヒストリーが作られません。

会社の場合、活動がアクティブであるというヒストリーが公的に管理されていて、銀行などはこれと登記からの年数や最近の税務申請書類を審査してビジネスローンを承認したり、クレジットカード決済口座を発行したりします。

ヒストリーとクレジットカードやクレジットカード決済口座に関しては、卵が先か鶏が先かといった問題になってきますが、これはプロのコンサルタントなどをつければ解決する方法があります。

ECサイトができるまでの作業

step

海外向けECサイトを作り終えるまでの段階を、大きく3つにわけます。日本での準備作業、米国での拠点準備、そしてECサイトの構築です。

ここでは例としてアメリカの場合を見てみましょう。

日本での準備

  • 補助金申請
  • ECサイト方針コンサルテーション
  • ECサイト計画

米国での新会社設立

  • 米国法人登録(EIN取得)
  • 銀行口座開設
  • クレジットカード決済口座開設
  • 現地での経営や業務コンサルテーション

ECサイト構築

  • ECサイトデザインと構築
  • ロジスティクスの構築
  • 倉庫の準備
  • 返品受領フローの構築

これらをひとつひとつ勉強しながら全部自分たちだけでやっていったのでは、ITやインターネットといったどんどん変化してしまう環境の中では、時間ばかりが過ぎてしまうことになります。したがって、なるべく複数の作業を並行作業しながら、自分たちでやると時間とお金がかかるところをプロに任せてしまい、それに必要な費用は補助金で補填する、というのが現実的な流れです。

補助金が取れないと厳しい場合も多いですが、現在日本政府はものづくりや海外展開に対しての支援政策に前向きであり、現在も相当補助金が交付されている上、今後増えていくと思われますので、補助金を現実的な資金源として考えていくのがよいでしょう。

補助金に関しては、また別の記事で詳しく説明する予定です。

 

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